150年以上経った今でも多くの人に愛され続けるイギリスの児童小説、『不思議の国のアリス』。その作者として知られる、ルイス・キャロル(本名:チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン)の本職はオックスフォード大学の数学教師でした。またアマチュア写真家としても知られていました。
実際『不思議の国のアリス』の中で、アリスが小瓶を飲んで体が大きくなったり小さくなったりする場面がありますよね。これはレンズの拡大縮小の仕組みからアイデアを得ていたのではないでしょうか。
今回は写真家としてのルイス・キャロルにフォーカスを当てていきます。
写真家ルイス・キャロルと女の子
ルイス・キャロルは24歳の頃、オックスフォード大学の学友であるレジナルド・サウジーとともにカメラを購入し、写真撮影を趣味とするようになりました。ルイス・キャロルが被写体とするのは女の子で、ほとんど男の子に関心を示さなかったといいます。
彼は多くの女の子たちを撮影してきました。その中でもオックスフォード大学の学寮長の三姉妹の一人、アリス・リデルは『不思議の国のアリス』誕生のきっかけになる女の子でした。ある日の午後、ルイス・キャロルが三姉妹に語った即興的ストーリーを、アリス・リデルが書き下ろしてほしいとせがんだことから『不思議の国のアリス』は執筆されました。
ルイス・キャロルは47歳の頃、中国人風や物乞い風など様々なコスチュームや小道具を用意し、女の子たちのヌードを集中的に撮影していました。中でもお気に入りの被写体は、アリス・リデルとクシー・キチンの2人でした。
しかしそれらの写真のほとんどが破棄されたか、被写体となった女の子たちに手渡されており、後に発見された6枚(そのうち4枚は公開されている)以外は跡形もなく消えてしまいました。
ルイス・キャロルは48歳で突然撮影をやめてしまい、実際に撮影されたヌードがどのようなものであったかは、不明な点が多く残されています。しかしルイス・キャロルと女の子との手紙のやり取りからは、ルイス・キャロルが変質者であったとかいわゆるロリコンであったことは微塵も伝わってきません。むしろ女の子たちを楽しませようとするユーモアが伝わってきます。
ルイス・キャロルは大人の女性に対しても強い関心を抱いており、多くの女性とも交流を楽しんでいました。そしてこれらの女性の多くは、成人後も良好な関係を続けていた、被写体の女の子たちだったのです。